音楽家の素顔(ポートレイト)

音楽ライター室田尚子と写真家伊藤竜太が、毎回1組の日本人クラシック・アーティストにインタビュー。写真と文章で、その素顔に迫ります。

2018-01-01から1年間の記事一覧

第9回 音楽とともに生きる、音楽のために生きる 藤木大地(カウンターテナー)

藤木大地が2017年、アリベルト・ライマン作曲の『メデア』でウィーン国立歌劇場国立歌劇場にデビューしたというニュースは、近年の日本のオペラ界でも第一級のスペシャルなものだった。何しろ、日本人(かつ東洋人)カウンターテナーとしては史上初の快挙で…

第8回 その熱で無垢なる者たちをオペラの虜にする 菅尾友(演出家)

モーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ』は、観るたびにお尻の辺りがムズムズするオペラだ。2組の恋人がいて、男たちが女の貞操を試すために変装して互いの恋人を口説き落とす。最後に騙されていたことを知った女たちが「誠実さと愛とで償います」と謝り…

第7回 白馬に乗ってやってきた、とびきり美しいオペラ歌手 鳥木弥生(メゾソプラノ)

去る6月に豊洲シビックセンターホールで行われた「6人のメゾソプラノたち」と題するコンサートは、メゾソプラノの歌う役柄の多彩さ、幅広さに加えて、メゾソプラノという声種を持つ歌い手たちがいかに演技派ぞろいで、人を楽しませることに長けているのかを…

第6回 天才ピアニストは愛の夢を見たか 反田恭平(ピアノ)

圧倒的なテクニック、惜しみなく溢れだす熱、そして煌めき変化する音色。この23歳のピアニストが、なぜ、人々を惹きつけてやまないのかは彼のピアノを聴けばわかる。だが、かつていた、そして今現在も居並ぶ数多の天才ピアニストたちと反田恭平との間には、…

第5回 アヴァンギャルドでオーセンティックな音楽家 鈴木優人(指揮・ピアノ・オルガン・作曲)

クラシック界に吹く「新しい風」 指揮者、ピアニスト、オルガニスト、作曲家。鈴木優人さんの「仕事」をひとつの言葉で表すことは不可能だ。八面六臂という言葉がふさわしい彼の活躍は、「日本の音楽界に新しい風が吹いている」ことを強く印象づける。1981年…

第4回 たぐいまれな光で周囲を照らし続ける星(スター) 宮本益光(バリトン)

以前、東京二期会オペラ劇場『こうもり』で共演した青木エマさんが、宮本益光さんのことを「いつも面白いことを探していて、その面白いことにみんなを巻き込んでいく」と語っていた。まさに、宮本益光という「人」を的確に表した言葉だと思う。もちろん、宮…

新国立劇場2018/19シーズンラインアップ説明会

新国立劇場の次のシーズンのラインアップを、オペラ・舞踊・演劇それぞれの芸術監督が説明する会見は、140人あまりの出席者を数えるたいへん盛大なものでした。オペラに大野和士、演劇に小川絵梨子という2人の新しい芸術監督が登場することも、盛況の理由だ…