去る2月、新国立劇場で行われた西村朗作曲の創作委嘱オペラ『紫苑物語』の世界初演で、平太役をダブルキャストで演じ絶大な評価を得たバリトンの松平敬(まつだいら・たかし)さん。松平さんは、現代音楽のスペシャリストとして100曲以上の作品を初演してい…
藤木大地が2017年、アリベルト・ライマン作曲の『メデア』でウィーン国立歌劇場国立歌劇場にデビューしたというニュースは、近年の日本のオペラ界でも第一級のスペシャルなものだった。何しろ、日本人(かつ東洋人)カウンターテナーとしては史上初の快挙で…
モーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ』は、観るたびにお尻の辺りがムズムズするオペラだ。2組の恋人がいて、男たちが女の貞操を試すために変装して互いの恋人を口説き落とす。最後に騙されていたことを知った女たちが「誠実さと愛とで償います」と謝り…
去る6月に豊洲シビックセンターホールで行われた「6人のメゾソプラノたち」と題するコンサートは、メゾソプラノの歌う役柄の多彩さ、幅広さに加えて、メゾソプラノという声種を持つ歌い手たちがいかに演技派ぞろいで、人を楽しませることに長けているのかを…
圧倒的なテクニック、惜しみなく溢れだす熱、そして煌めき変化する音色。この23歳のピアニストが、なぜ、人々を惹きつけてやまないのかは彼のピアノを聴けばわかる。だが、かつていた、そして今現在も居並ぶ数多の天才ピアニストたちと反田恭平との間には、…
クラシック界に吹く「新しい風」 指揮者、ピアニスト、オルガニスト、作曲家。鈴木優人さんの「仕事」をひとつの言葉で表すことは不可能だ。八面六臂という言葉がふさわしい彼の活躍は、「日本の音楽界に新しい風が吹いている」ことを強く印象づける。1981年…
以前、東京二期会オペラ劇場『こうもり』で共演した青木エマさんが、宮本益光さんのことを「いつも面白いことを探していて、その面白いことにみんなを巻き込んでいく」と語っていた。まさに、宮本益光という「人」を的確に表した言葉だと思う。もちろん、宮…
新国立劇場の次のシーズンのラインアップを、オペラ・舞踊・演劇それぞれの芸術監督が説明する会見は、140人あまりの出席者を数えるたいへん盛大なものでした。オペラに大野和士、演劇に小川絵梨子という2人の新しい芸術監督が登場することも、盛況の理由だ…
21世紀の「ヤマカズ」 かつては指揮者「ヤマカズ」といえば「故・山田一雄」のことだったが、2017年現在の日本では、ほぼ100パーセント「山田和樹」を指す。それは、偶然にも名前が似ていただけでなく、山田和樹さんがその愛称で知られる偉大なる先輩指揮者…
全国5都市(新潟・東京・金沢・魚津・沖縄)で上演される全国共同制作プロジェクト、プッチーニの歌劇『トスカ』。これが初めてのオペラ演出になる映画監督の河瀨直美さんに、翌日は東京芸術劇場での初日というタイミングでお話を伺うことができた。 10月15…
ここ数年、日本のテノールの中では目が離せない活躍をみせる西村悟(さとし)さんが、この10月に東京オペラシティ コンサートホールで初のオーケストラ伴奏によるソロ・リサイタルを開く。35歳、歌手としては「若手」の彼が語るオペラへの思い、とは。 オーケ…
7月26日から開幕する東京二期会『ばらの騎士』、指揮のセバスティアン・ヴァイグレ氏と演出のリチャード・ジョーンズ氏の来日記者会見が行われました。このプロダクションは、2014年のイギリス・グラインドボーン音楽祭で初演されたもので、今回はいわばその…
「日本を代表するソプラノ」のひとり、幸田浩子さん。その名前は、クラシック・ファンはもちろんのこと、広くお茶の間でも知られている。それは幸田さんが、NHK-FM「気ままにクラシック」やBSフジ「レシピ・アン」などテレビやラジオに出演する機会が多いこ…